からだ通信 第3号|2026年10月号
10月10日は 転倒予防の日
先月号では「歩く速さ」を取り上げました。今月はその続きとして、住まいの中に目を向けます。転ぶのは外だと思われがちですが、救急搬送の記録を見ると、住み慣れた家の中で起きた例が多く報告されています。10月10日は「転倒予防の日」。この機会に、足もとと体の様子を見直してみませんか。
執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師/訪問鍼灸Move 院長・Move fit tobata 代表)|運動も鍼灸も、両方の目で体を診ます
転ぶのは外を歩いているとき、と思われがちです。ところが東京消防庁のまとめでは、令和6年中に「ころぶ」事故で救急搬送された高齢の方のうち、住まいで起きた42,180人の9割以上にあたる39,053人が、屋内での事故でした。
場所も、玄関や廊下より、毎日過ごす居室・寝室が群を抜いて多くなっています。
住まいの中で「ころぶ」事故が起きた場所(救急搬送された人数)
出典:東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」(東京消防庁管内・令和6年中・65歳以上。住宅等居住場所で「ころぶ」事故にあった方の発生場所別)
9割以上
住まいの「ころぶ」事故は屋内が9割以上
東京消防庁 令和6年:住宅等居住場所で「ころぶ」事故にあった高齢者42,180人のうち、屋内が39,053人(東京消防庁管内・65歳以上)。
これは東京消防庁管内の救急搬送の集計で、転倒のすべてを数えたものではありません。それでも、住まいの中に目を向ける理由には十分です。
10月10日は「転倒予防の日」(日本転倒予防学会)。家の中を一周する日に、あててみてください。
※頭を打ったあとは、その日は大丈夫でも、しばらく様子(頭痛・ぼんやり・歩きにくさ)に気を配り、気になるときは受診を。
ふだんの様子で✔を。その場で試さないでください。あてはまる項目を押すと、✔がつきます。
✔ 0/8
✔がつかなかったところが、見直しの入り口です。
動かない支えにつかまり、かかと上げ・つま先上げ・足踏みを各10回から。足先を上げる力とバランスに働きかけます。
※各10回を目安に。支えは流し台や重いテーブルなど動かないものを(キャスター付きは不可)。ふらつく方は、すぐそばで見守れる人がいるときだけ。つかまっても不安定な方は行わず、専門職にご相談を。痛みやめまいが出たら中止。転んだ直後・痛みがあるあいだは運動より先に受診を。骨粗しょう症が気になる方は整形外科へご相談を。
12〜32%
運動プログラムで転倒リスクの低減を報告
厚労省「身体活動・運動ガイド2023」より。筋力・バランス・柔軟などを組み合わせた運動プログラムの研究報告で、上の体操だけの数字ではありません。週3日以上が目安。個人差があります。
敷物は固定するか外す、コードは壁ぎわへ、寝室からトイレに足もと灯、室内ばきはかかとのあるものに。
薬は自己判断でやめず、種類が多い方・ふらつく方は主治医や薬剤師に相談を。眼鏡と、ゆっくりした立ち上がりも。
「この前、家の中で転びかけて。それから、歩くのがこわいんです」
転びかけた方から、よく伺う言葉です。こわいと感じるのは自然な反応です。ただ、こわさから動く機会が減ると、脚の力は落ちていきます。
今月はこの「転びかけた」を、理学療法士の目と鍼灸師の目で順に見ていきます。見る角度が二つあると、次にやってみることが見つけやすくなります。
① 理学療法士
片脚立ちが15秒続くかどうかは、運動器の状態を見る基準の一つです。どの場面で、なぜ足が出なかったのかを確かめ、体と住まいの両方から手を打ちます。
② 鍼灸師
こうした全身の状態を確認します。冷えやむくみ、眠りの浅さは、起きがけや夜のふらつきと重なることがあります。東洋医学では、経絡(気血のとおり道)のどこが不足し、どこが滞っているかを見ます。状態に合わせて、施術や生活のご提案が変わります。
動きを見る目と、全身の状態を見る目。二つを重ねると、転びかけた背景を見落としにくくなります。
転びかけることが続く/ふらつきが強まる/こわくて外出や入浴など生活に支障が出ている——このいずれかにあてはまるときは、無理をせず、医療機関やかかりつけの専門職にご相談ください。この1か月に2回以上転んだ方も、一度みてもらうほうが安心です。
※頭を打ったとき、立てないときの救急の目安は「転んだあとの受診の目安」にあります。
A. 東洋医学でいう「肝」は、肝臓そのものではありません。気をのびやかに巡らせるはたらきをいい、「肝は筋(すじ)をつかさどる」として、筋や腱のしなやかさ、目とも関わりが深いとされます。目の疲れや足のつりも、肝をいたわる養生の手がかりと考えます。
転倒のリスクを減らすことが報告されているのは、運動・住まいの見直し・薬の確認です。ツボと食の養生は、脚をいたわる東洋医学の伝統的な考え方としてご紹介します。椅子に腰かけて、気持ちよい程度に、息を吐きながらゆっくり押します。
気持ちよい程度に、息を吐きながら5秒ほどゆっくり。1か所につき3〜5回までとし、強く揉まないこと。ここでの説明は東洋医学の伝統的な考え方の紹介で、効果を保証するものではありません。妊娠中の方は脚のツボを強く押すのを避け、血が止まりにくい方(抗凝固薬を使う方など)、皮膚に傷や異常がある部位も避けてください。押して痛みが出たら中止。急に片脚だけが腫れたとき、新しくしびれが出たときは、押さずに医療機関へ。持病・服薬中の方や症状が続くときは、始める前に主治医・鍼灸師にご相談ください。ツボは薬の代わりではありません。安定した椅子で。足先に手が届きにくい方は無理にかがまず、届くところだけで。立ったまま押すとふらつくため、座って行ってください。
「自分のタイプは?」——スマートフォンで約3分(25問)のかんたん体質チェックができます。今の状態の傾向がわかりますので、結果を体験時に見せていただくと、お話が早く進みます。
かんたん体質チェックをする(約3分)※医療上の診断ではなく、ご相談のきっかけです。
東洋医学では、筋(すじ)のしなやかさは「肝」と、肝を養う「血(けつ)」に支えられると考えます。血を養うと言われるのは、にんじん・ほうれん草・小松菜・黒きくらげ・なつめなど。
肉・魚・卵・豆腐などのたんぱく質と、小魚・きのこも毎食少しずつ。冷たい飲食にかたよらず、温かい汁物で体を冷やさないように。
※骨粗しょう症の薬や食事の指示がある方、血液をサラサラにする薬(ワルファリンなど)で食事の指示がある方は、主治医・管理栄養士の指示を優先してください。
鍼と聞くと身構える方へ。鍼灸には、皮膚に軽く当てたり、さすったりして、鍼を刺さずに用いる「鍉鍼(ていしん)」もあります。
棒状の金属の道具で経絡(気血のとおり道)をやさしく整えるもので、鍼を刺す施術が苦手な方や、はじめての方にも用いられます。「鍼はちょっと…」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
Q. 一度転んでから、外に出るのがこわくなりました。どうすればいいでしょうか?
A. こわいと感じるのは自然な反応です。ただ、動かない日が続くと脚の力は落ちやすく、こわさがかえって強まることがあります。
手すりのある廊下や、ご家族と一緒の買い物など、支えのある場所で短い時間から始めるのが現実的です。家の中の敷物・コード・足もとの明るさの見直しも助けになります。
一人で抱え込まず、かかりつけ医やケアマネジャー、私たちのような専門職にも、いちどご相談ください。体験では、どこに不安があるのかを一緒に確かめます。
ご利用者様の「転倒」や「歩き」のことでお困りの方、ご自身の不調が気になる方、どちらもお気軽にご相談ください。理学療法士×鍼灸師が、運動と鍼灸の両方の目で体の状態を確認します。主治医・ケアマネジャーのみなさまと連携しながら進めます。
気になるところがある方は、まず30分の体験で今の状態をご確認ください。この紙面は、ご家族やお知り合いにそのままお渡しください。
ご利用者様のご紹介は、医師の同意と、体の状態の確認が必要です。同意書依頼の書類作成は当方で行います。健康保険でのご利用は医師の同意が前提です(介護保険と併用できます)。
本紙をお持ちのケアマネ・看護師・施設スタッフご本人も無料です。ご自身の腰や膝のことも、30分でご相談いただけます。お仕事の後の時間帯(平日〜20:00)もご相談ください。
体験のご予約・お問い合わせをLINEで受け付けています。LINEで「体験希望」とお名前・ご希望の曜日と時間帯を送るだけで大丈夫です。お電話でも承ります。
Move fit 戸畑/訪問鍼灸Move(担当:村田 幸俊) TEL 090-2394-9552(平日9:30〜20:00・土日祝休み)。施術中は出られないことがあります。事業所名とお名前だけお伝えいただければ折り返します。
そのままお使いいただけます。
申し送りに:「自宅内での転倒・つまずきの有無を確認しています。夜間のトイレと起きがけの時間帯、履物と床の状態、最近の薬の変更もあわせて確認します。」
ご家族に:「転倒は、家の中でも多く起きています。敷物・コード・足もとの明るさを見てください。」
10月10日は「転倒予防の日」です。この日をきっかけに、玄関から寝室まで、足もとを見ながら家の中をひと回り。敷物のめくれ、床をはうコード、暗い廊下——気づいたところが、今月の見直すところです。