KARADA TSUSHIN|MOVE FIT TOBATA

からだ通信

03
2026年10月号
発行:Move fit 戸畑 × 訪問鍼灸Move
秋の朝、手すりのある明るい玄関で、腰かけて靴をはく男性

今月の特集|FEATURE 10月10日は 転倒予防の日

転ばないために、
今できること

先月号では「歩く速さ」を取り上げました。今月はその続きとして、住まいの中に目を向けます。転ぶのは外だと思われがちですが、救急搬送の記録を見ると、住み慣れた家の中で起きた例が多く報告されています。10月10日は「転倒予防の日」。この機会に、足もとと体の様子を見直してみませんか。

1転倒の多くは、
住み慣れた家の中で
2体・薬と体調・住まい、
三つの見直し
3転んだあとの
「受診の目安」を知っておく

P2-3

特集:転ばないために、今できること

なぜ家の中で転ぶのか/三つの見直し・体操・✂チェック表

P4-5

二つの目で見る、今月の困りごと

理学療法士と鍼灸師の目/自宅で試せること/かんたん体質チェック

P6

ご相談・ご紹介窓口

ケアマネ・看護師のみなさまへ(ご紹介の流れ)/読者Q&A/LINEで予約・ご相談

村田幸俊

執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師/訪問鍼灸Move 院長・Move fit tobata 代表)|運動も鍼灸も、両方の目で体を診ます

特集
特集転ばないために、今できること ①(なぜ、家の中で転ぶのか)MOVE FIT TOBATA|2026.10
01

FEATURE

なぜ、家の中で転ぶのか

転ぶのは外を歩いているとき、と思われがちです。ところが東京消防庁のまとめでは、令和6年中に「ころぶ」事故で救急搬送された高齢の方のうち、住まいで起きた42,180人の9割以上にあたる39,053人が、屋内での事故でした。場所も、玄関や廊下より、毎日過ごす居室・寝室が群を抜いて多くなっています。

これは東京消防庁管内の救急搬送の集計で、転倒のすべてを数えたものではありません。それでも、住まいの中に目を向ける理由には十分です。10月10日は「転倒予防の日」(日本転倒予防学会)。家の中を一周する日に、あててみてください。

住まいの中で「ころぶ」事故が起きた場所(救急搬送された人数)

居室・寝室29,783
玄関・勝手口3,900
廊下・縁側・通路2,653
トイレ・洗面所1,229
台所・食堂1,079

出典:東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」(東京消防庁管内・令和6年中・65歳以上。住宅等居住場所で「ころぶ」事故にあった方の発生場所別)

9割以上

住まいの「ころぶ」事故は
屋内が9割以上

東京消防庁 令和6年:住宅等居住場所で「ころぶ」事故にあった高齢者42,180人のうち、屋内が39,053人(東京消防庁管内・65歳以上)。

家の中で転ぶ、三つの背景
  • ——脚の力とバランスが落ちると、足先が上がりにくくなり、わずかな段差でもつま先が引っかかります
  • 薬と体調——眠りの薬や血圧の薬など、薬によってはふらつきの原因になることがあります(厚労省「高齢者の医薬品適正使用の指針」)。自己判断でやめず、気になるときは主治医・薬剤師にご相談ください
  • 住まい——敷物のめくれ、床をはうコード、段差、夜の暗さ、脱げやすいスリッパ。「落ちる」事故8,719人では階段が4,240人と最多でした
居間の足もと。めくれた敷物の端、床をはう電源コード、脱げやすいスリッパ

転びかけたあとに、もう一つの流れが始まります

転びかける・こわくなる・動く機会が減る・脚が弱るの循環図

転ぶ・転びかける → こわくなる → 動く機会が減る → 脚が弱る → また転びやすくなる。輪のどこか一か所でも止まれば、流れは変わります

02
特集
特集転ばないために、今できること ②(今日からできる見直し)MOVE FIT TOBATA|2026.10
転んだあとに、ためらわず受診・救急を
  • ただちに救急(119番)を:頭を打って意識をなくした打ったことを覚えていない/意識がぼんやりする・おかしなことを言う/吐く・吐き気/手足に力が入らない・しびれる/フラフラする・めまいがする/けいれん/頭や耳から出血/足の付け根が痛くて立てない(無理に立たせず、動かさずに
  • その日のうちに医療機関へ:体重をかけると痛くて歩けない(無理に歩かせない)/血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を飲んでいる方が頭を打ったとき(症状が軽くてもご相談を)
  • 早めに医療機関へ相談を:転んだあとの痛み・腫れが続く/この1か月に2回以上転んだ/めまい・ふらつきが続く

※頭を打ったあとは、その日は大丈夫でも、しばらく様子(頭痛・ぼんやり・歩きにくさ)に気を配り、気になるときは受診を。

今日からできる 三つの見直し
  • 体を整える——動かない支えにつかまり、かかと上げ・つま先上げ・足踏みを各10回から。足先を上げる力とバランスに働きかけます
  • 住まいを整える——敷物は固定するか外す、コードは壁ぎわへ、寝室からトイレに足もと灯、室内ばきはかかとのあるものに
  • 薬と体調を確かめる——薬は自己判断でやめず、種類が多い方・ふらつく方は主治医や薬剤師に相談を。眼鏡と、ゆっくりした立ち上がりも
12〜32%

運動プログラムで
転倒リスクの低減を報告

厚労省「身体活動・運動ガイド2023」より。筋力・バランス・柔軟などを組み合わせた運動プログラムの研究報告で、下の体操だけの数字ではありません。週3日以上が目安。個人差があります。

流しにつかまって——かかと上げ・つま先上げ・足踏み

動かない支えにつかまって行う、かかと上げ・つま先上げ・もも上げ足踏みの4コマ

①動かない支えにつかまって立つ ②かかとを上げる ③つま先を上げる ④ももを上げて、その場で足踏み——各10回を目安に

※支えは流し台や重いテーブルなど動かないものを(キャスター付きは不可)。ふらつく方は、すぐそばで見守れる人がいるときだけ。つかまっても不安定な方は行わず、専門職にご相談を。痛みやめまいが出たら中止。転んだ直後・痛みがあるあいだは運動より先に受診を。骨粗しょう症が気になる方は整形外科へご相談を。

わが家と体の 転ばないチェック ✂ ふだんの様子で✔を(その場で試さないでください)。切り取って、見えるところにどうぞ
この1年、転んだことがない
床の敷物やマットが、めくれていない
薬が変わったあと、ふらつきが出ていない
電気コードが、通り道を横切っていない
玄関と階段に、つかまれる手すりがある
寝室からトイレまで、夜も足もとが明るい
よく使う物は、背伸びせず取れる高さにある
室内ばきは、かかとのあるものを使っている
✔がつかなかった項目が気になる方は、一度、体の状態を見せてください。ご紹介の方も、本紙を手にしたケアマネ・看護師・施設スタッフの方ご自身も、鍼灸・理学療法の初回体験が無料です(店舗でも訪問でも)。→ P6
申し送り・ご家族への一言(そのまま使えます)

申し送りに:「自宅内での転倒・つまずきの有無を確認しています。夜間のトイレと起きがけの時間帯、履物と床の状態、最近の薬の変更もあわせて確認します。」

ご家族に:「転倒は、家の中でも多く起きています。敷物・コード・足もとの明るさを見てください。」

03
東洋医学
連載二つの目で見る、今月の困りごと ①MOVE FIT TOBATA|2026.10
02

SERIES|理学療法士 × 鍼灸師の目で

二つの目で見る、今月の困りごと

「この前、家の中で転びかけて。それから、歩くのがこわいんです」

転びかけた方から、よく伺う言葉です。こわいと感じるのは自然な反応です。ただ、こわさから動く機会が減ると、脚の力は落ちていきます。今月はこの「転びかけた」を、理学療法士の目と鍼灸師の目で順に見ていきます。見る角度が二つあると、次にやってみることが見つけやすくなります。

① 理学療法士が確認すること
  • 片脚立ちと左右差/どのくらい続くか、左右で差がないか
  • 向きを変えるとき/方向転換で足がもつれないか、よろけないか
  • つまずく場面と時間帯/夜のトイレ、起きがけ、急いだときなど
  • 足先の上がり/すり足になっていないか、足首が動くか
  • 履物と床/室内ばきのかかと、敷物・コード・段差
  • 最近の薬の変更と立ちくらみ/変わった時期と、ふらつきが出た時期

片脚立ちが15秒続くかどうかは、運動器の状態を見る基準の一つです。どの場面で、なぜ足が出なかったのかを確かめ、体と住まいの両方から手を打ちます。

×
② 鍼灸師が確認すること
  • 足の冷え・しびれ感/足先が冷たい、じんとした感じがないか
  • 夕方のむくみ/靴下のあとが残らないか
  • 夜間のトイレと眠り/夜に何回起きるか、眠りが浅くないか
  • めまい・ふらつき/起き上がりや振り向きで出ないか
  • 目の疲れ/東洋医学では「肝」は筋(すじ)とも目とも関わるとされます
  • こむら返り/夜中に足がつって目が覚めていないか

こうした全身の状態を確認します。冷えやむくみ、眠りの浅さは、起きがけや夜のふらつきと重なることがあります。東洋医学では、経絡(気血のとおり道)のどこが不足し、どこが滞っているかを見ます。状態に合わせて、施術や生活のご提案が変わります。

動きを見る目と、全身の状態を見る目。二つを重ねると、転びかけた背景を見落としにくくなります。

1

困りごとを整理する

この2つの目で、今の状態を見わたします

2

安全なセルフケア

痛みや新しい症状がないときに、ツボ・食の養生を(→P5)

3

専門職による確認

続くときは、体の状態を見せてください

4

次の選択

訪問鍼灸・ジム・様子を見る(→P6)

④ 相談・受診を考える目安

転びかけることが続く/ふらつきが強まる/こわくて外出や入浴など生活に支障が出ている——このいずれかにあてはまるときは、無理をせず、医療機関やかかりつけの専門職にご相談ください。この1か月に2回以上転んだ方も、一度みてもらうほうが安心です。

※頭を打ったとき、立てないときの救急の目安はP3に。

用語ミニ Q&A

Q.「肝(かん)」とは?

A. 東洋医学でいう「肝」は、肝臓そのものではありません。気をのびやかに巡らせるはたらきをいい、「肝は筋(すじ)をつかさどる」として、筋や腱のしなやかさ、目とも関わりが深いとされます。目の疲れや足のつりも、肝をいたわる養生の手がかりと考えます。

04
東洋医学
連載二つの目で見る、今月の困りごと ② ― 自宅で試せることMOVE FIT TOBATA|2026.10
③ 自宅で試せること|脚の冷え・疲れをいたわるツボ

転倒のリスクを減らすことが報告されているのは、運動・住まいの見直し・薬の確認です。ツボと食の養生は、脚をいたわる東洋医学の伝統的な考え方としてご紹介します。椅子に腰かけて、気持ちよい程度に、息を吐きながらゆっくり押します。

脚の内側から見たツボ図(太衝・照海・陰陵泉・血海)

図はおおよその位置。正確な位置は右の説明を

  • 太衝(たいしょう)/足の甲、親指と第2指の骨の間を足首のほうへたどり、指が止まるくぼみ/東洋医学では、気の巡りと「肝」の養生に用いられます
  • 陰陵泉(いんりょうせん)/すねの内側、膝の下にある骨のきわのくぼみ/東洋医学では、水はけ・むくみの養生に用いられます
  • 照海(しょうかい)/内くるぶしのすぐ下のくぼみ/東洋医学では、のどの乾きや眠りの養生に用いられます
  • 血海(けっかい)/膝のお皿の内側の上の角から指3本上、筋肉のふくらんだところ/東洋医学では、血を養い巡らせる養生に用いられます

気持ちよい程度に、息を吐きながら5秒ほどゆっくり。1か所につき3〜5回までとし、強く揉まないこと。ここでの説明は東洋医学の伝統的な考え方の紹介で、効果を保証するものではありません。妊娠中の方は脚のツボを強く押すのを避け、血が止まりにくい方(抗凝固薬を使う方など)、皮膚に傷や異常がある部位も避けてください。押して痛みが出たら中止。急に片脚だけが腫れたとき、新しくしびれが出たときは、押さずに医療機関へ。持病・服薬中の方や症状が続くときは、始める前に主治医・鍼灸師にご相談ください。ツボは薬の代わりではありません。安定した椅子で。足先に手が届きにくい方は無理にかがまず、届くところだけで。立ったまま押すとふらつくため、座って行ってください。

③ 自宅で試せること|食の養生

東洋医学では、筋(すじ)のしなやかさは「肝」と、肝を養う「血(けつ)」に支えられると考えます。血を養うと言われるのは、にんじん・ほうれん草・小松菜・黒きくらげ・なつめなど。肉・魚・卵・豆腐などのたんぱく質と、小魚・きのこも毎食少しずつ。冷たい飲食にかたよらず、温かい汁物で体を冷やさないように。※骨粗しょう症の薬や食事の指示がある方、血液をサラサラにする薬(ワルファリンなど)で食事の指示がある方は、主治医・管理栄養士の指示を優先してください。

⑤ かんたんチェック
かんたん体質チェックQR
かんたん体質チェック
約3分(25問)

「自分のタイプは?」——スマートフォンで約3分(25問)のかんたん体質チェックができます。今の状態の傾向がわかりますので、結果を体験時に見せていただくと、お話が早く進みます。

※医療上の診断ではなく、ご相談のきっかけです。

⑥ 読者別の体験のご案内

転びかけたことが気になる方は「ご本人・ご家族」として、ご利用者様の転倒でお困りの方は「支援者」として、ご自身の腰や膝のことは「スタッフご本人」として。それぞれの窓口と、初回体験のご案内をP6にまとめました。どの窓口でも、まずは30分の体験からです。体験のあとは、訪問鍼灸・ジム・様子を見る、のどれを選んでいただいても大丈夫です。

「刺さない鍼」もあります

鍼と聞くと身構える方へ。鍼灸には、皮膚に軽く当てたり、さすったりして、鍼を刺さずに用いる「鍉鍼(ていしん)」もあります。棒状の金属の道具で経絡(気血のとおり道)をやさしく整えるもので、鍼を刺す施術が苦手な方や、はじめての方にも用いられます。「鍼はちょっと…」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

05

ご相談・ご紹介のご案内

INFORMATION
お問い合わせ・ご相談の窓口

ご利用者様の「転倒」や「歩き」のことでお困りの方、ご自身の不調が気になる方、どちらもお気軽にご相談ください。理学療法士×鍼灸師が、運動と鍼灸の両方の目で体の状態を確認します。主治医・ケアマネジャーのみなさまと連携しながら進めます。

Move fit 戸畑/訪問鍼灸Move(担当:村田 幸俊)
TEL:090-2394-9552(平日9:30〜20:00・土日祝休み)
施術中は出られないことがあります。事業所名とお名前だけお伝えいただければ折り返します。
初回体験のご案内(無料)
  • 所要時間は30分程度です。姿勢と動きの評価(理学療法士)と、冷え・睡眠・食欲など全身の状態の確認(鍼灸師)のあと、鍼灸または理学療法を短時間で受けていただきます。鍼が苦手な方は刺さない鍼も選べます。
  • 店舗でも訪問でも承ります。
  • ご紹介の方・本紙をお持ちの方・ケアマネ・看護師・施設スタッフご本人は無料です。
  • 体験後は訪問鍼灸・ジム・様子を見る、のどれでも大丈夫です。
  • 体験後に訪問鍼灸を続ける場合、健康保険1割負担の方で1回およそ500円が目安です(医師の同意が必要です)。
LINE予約QR
QR=LINEで予約・ご相談
体験のご予約・お問い合わせを
LINEで受け付けています
LINEで「体験希望」とお名前・ご希望の曜日と時間帯を送るだけで大丈夫です。お電話でも承ります。

⑴ ご本人・ご家族の方へ

気になるところがある方は、まず30分の体験で今の状態をご確認ください。

この紙面は、ご家族やお知り合いにそのままお渡しください。

⑵ ケアマネジャー・看護師など支援者の方へ

ご利用者様のご紹介は、医師の同意と、体の状態の確認が必要です。同意書依頼の書類作成は当方で行います。

健康保険でのご利用は医師の同意が前提です(介護保険と併用できます)。

読者Q&A

Q. 一度転んでから、外に出るのがこわくなりました。どうすればいいでしょうか?

A. こわいと感じるのは自然な反応です。ただ、動かない日が続くと脚の力は落ちやすく、こわさがかえって強まることがあります。手すりのある廊下や、ご家族と一緒の買い物など、支えのある場所で短い時間から始めるのが現実的です。家の中の敷物・コード・足もとの明るさの見直しも助けになります。一人で抱え込まず、かかりつけ医やケアマネジャー、私たちのような専門職にも、いちどご相談ください。体験では、どこに不安があるのかを一緒に確かめます。

10月10日に、家の中をひと回り

10月10日は「転倒予防の日」です。この日をきっかけに、玄関から寝室まで、足もとを見ながら家の中をひと回り。敷物のめくれ、床をはうコード、暗い廊下——気づいたところが、今月の見直すところです。

片づいた明るい居間で、家族とお茶を飲む
足もとを整えた家で、今日も一日。行きたい場所へ、自分の足で。
Move fit 戸畑 ジム&鍼灸/訪問鍼灸Move
TEL 090-2394-9552
〒804-0041 北九州市戸畑区天籟寺1丁目2番50号/発行 Move fit 戸畑・2026年10月1日(第3号・毎月1日発行)/執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師)
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