KARADA TSUSHIN|MOVE FIT TOBATA

からだ通信

02
2026年9月号
発行:Move fit 戸畑 × 訪問鍼灸Move
秋の公園をゆっくり歩く高齢のご夫婦の後ろ姿

今月の特集|FEATURE

歩く速さは、
体からのお知らせ

「前より歩くのがゆっくりになった」「立ち上がるのに手をつくようになった」——毎日そばで見ているみなさまが、いちばん先に気づく変化です。歩く速さは、脚の力・体のバランス・腰や膝の痛みが重なって表れます。涼しくなって体を動かしやすくなるこの時期に、いちど動きを見直してみませんか。

1介護が必要になった原因の
第2位は「骨折・転倒」
2歩く速さは、筋力と
バランスと痛みの重なり
3立ち座り・片足立ち・歩幅、
この3つから見直す

P2-3

特集:歩く速さは体からのお知らせ

なぜゆっくりになるのか/今日からできる見直し・✂チェック表

P4-5

二つの目で見る、今月の困りごと

理学療法士と鍼灸師の目/自宅で試せること/かんたん体質チェック

P6

ご相談・ご紹介窓口

読者Q&A(歩く速さと鍼灸・運動)/LINEで予約・ご相談

村田幸俊

執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師/訪問鍼灸Move 院長・Move fit tobata 代表)|運動も鍼灸も、両方の目で体を診ます

特集
特集歩く速さは体からのお知らせ ①(なぜゆっくりになるのか)MOVE FIT TOBATA|2026.09
01

FEATURE

なぜ、歩くのが「ゆっくり」になるのか

「前より歩くのが遅くなった気がする」「後ろから来た人に追い越されるようになった」——歩く速さの変化は、年齢のせいだけではありません。脚の力、体のバランス、そして腰や膝の痛み。この三つが重なって、歩幅と速さに表れます。

国立長寿医療研究センターの調査では、歩く速さが遅いグループ(男性 秒速1.15m以下・女性 1.12m以下)は、基準となるグループ(男性 1.27〜1.37m・女性 1.23〜1.30m)にくらべて、その後に要介護となる方が多かったと報告されています。歩く速さは、今の体の状態を映す物差しの一つです。

介護が必要になった主な原因(要介護者・上位3つ)

認知症23.6%
骨折・転倒14.8%
高齢による衰弱14.5%

出典:厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査」(要介護者について、介護が必要になった主な原因の上位3つ)

8割以上

高齢者の日常生活の事故は
「ころぶ」が8割以上

東京消防庁 令和6年:高齢者の日常生活事故による救急搬送98,056人のうち「ころぶ」が73,500人。約4割が入院を要する中等症以上(東京都のデータ)。

歩くのがゆっくりになる、三つの背景
  • 脚の力が落ちる——体を持ち上げて前に運ぶ力が落ちると、一歩が小さくなり、歩く速さも落ちていきます
  • バランスが取りにくくなる——ふらつきを避けようとして歩幅を狭め、足を床からあまり離さない歩き方になります
  • 腰や膝の痛み、転ぶこわさ——国民生活基礎調査では、体の不調の訴えは男女とも腰痛が第1位。女性では「手足の関節が痛む」が第3位です

「歩きにくさ」が「さらに弱る」につながる流れ

歩きにくさから外出減少への流れ

痛みや筋力低下 → 歩幅が狭く、遅くなる → 外出が減る → さらに弱る。どこか1つを断ち切るのが、見直しの入り口です

02
特集
特集歩く速さは体からのお知らせ ②(今日からできる見直し)MOVE FIT TOBATA|2026.09
こんなときは、ためらわず受診・救急を
  • ただちに救急(119番)を:急に片側の手足に力が入らない/ろれつが回らない/顔の片側がゆがむ/転んで頭を強く打った/強い痛みで動けない
  • 早めに医療機関へ相談を:転んだあとの痛み・腫れが続く/体重をかけると痛くて歩けない/数週間で急に歩きにくくなった/めまい・ふらつきが続く

※急に始まった歩きにくさは、様子を見ずに受診を。迷う時は主治医・かかりつけ医にご相談ください。

歩く速さを取り戻す 3つの柱
  • 立つ・座るをくり返す(筋力)——椅子から手を使わずに立つ・座るを5回から。慣れたら10回を1セットに。太ももとお尻の力が、一歩の大きさをつくります
  • つかまって片足立ち(バランス)——洗面台や台所につかまり、片足を軽く浮かせて数秒。左右とも。必ず何かにつかまって行います
  • 歩幅を意識して歩く(歩き方)——いつもより靴一足分だけ前に足を出すつもりで。かかとから着き、つま先で押し出します
3日以上

筋力・バランスなど
多要素な運動を週3日以上

厚労省「身体活動・運動ガイド2023」。高齢者は歩行など1日40分以上に加え、多要素な運動を週3日以上が目安です。

椅子ひとつでできる——立ち座りと、つかまり片足立ち

椅子でできる立ち座りとつかまり片足立ち

①浅めに座って足を引く ②お辞儀をするように立つ ③ひざを伸ばしてまっすぐ立つ ④支えにつかまって片足を浮かせる——痛みのない範囲で

※痛みが出たら中止。ふらつく方は必ず支えのある場所で行い、通院・リハビリ中の方は主治医・担当者の指示を優先してください。

歩く速さ セルフチェック ✂ コピー・切り取って、事業所やご自宅の見えるところにどうぞ
以前より歩くのが遅くなっていない
この1か月、つまずいたことがない
椅子から手をつかずに立てる
外出の回数が減っていない
腰や膝の痛みで足を止めることがない
靴の底が左右で片減りしていない
階段で手すりに頼りきりにならない
夜、トイレに行くときにふらつかない
✔が5つに届かない方は、一度、体の状態を見せてください。ご紹介の方も、本紙を手にしたケアマネ・看護師・施設スタッフの方ご自身も、鍼灸・理学療法の初回体験が無料です(店舗でも訪問でも)。→ P6
申し送り・ご家族への一言(そのまま使えます)

申し送りに:「歩行がゆっくりになり、立ち上がりに手をつく場面が増えています。転倒の有無と、腰・膝の痛みを確認しています。」

ご家族に:「歩く速さは、脚の力とバランスと痛みが重なって変わります。椅子からの立ち座りを、5回から一緒に。」

03
東洋医学
連載二つの目で見る、今月の困りごと ①MOVE FIT TOBATA|2026.09
02

SERIES|理学療法士 × 鍼灸師の目で

二つの目で見る、今月の困りごと

「最近、歩くのがゆっくりになった」

ジムでも訪問先でも、ご家族やケアマネジャーのみなさまから、よく伺う声です。同じ「歩きにくさ」でも、理学療法士と鍼灸師では、確かめるところが違います。どちらが正しいということではなく、二つの角度から同じ困りごとを見ることで、次にやってみることが見つけやすくなります。

① 理学療法士が確認すること
  • 歩幅と速さ/一歩が小さくなっていないか、同じ距離に前より時間がかかっていないか
  • 左右の差/どちらかの足を引きずる、体が片側に傾くことはないか
  • 立ち上がり方/手をついて立っているか、続けて何回くり返せるか
  • 片足立ちの秒数/左右で差がないか、ふらつきが出ないか
  • 靴と床/靴底の片減り、段差・敷物・コードなど、つまずきのもと

歩く速さが秒速1メートルを下回るかどうかは、専門職が体の状態を見直す一つの目安とされています。くずれているところが見つかれば、そこから立て直していきます。

×
② 鍼灸師が確認すること
  • 痛みの出方/腰か膝か、動きはじめに出るのか、歩き続けたときに出るのか
  • 冷え/腰やひざ、足先が冷えていないか
  • むくみ/夕方に足がむくむ、靴下のあとが残らないか
  • 夜間の痛み/寝返りや夜中の痛みで目が覚めていないか
  • 疲れやすさ/少し歩くと息が上がる、午後に力が入らない

こうした全身の状態を確認します。状態に合わせて、施術や生活のご提案が変わります。

見るところは違っても、向かう先は同じです。二つの引き出しがあると、歩きにくさに対して打てる手が増えます。

1

困りごとを整理する

この2つの目で、今の状態を見わたします

2

安全なセルフケア

ツボ・食の養生を自宅で(→P5)

3

専門職による確認

続くときは、体の状態を見せてください

4

次の選択

訪問鍼灸・ジム・様子を見る(→P6)

④ 相談・受診を考える目安

セルフケアを続けても歩きにくさが続く/だんだん強まる/買い物や通院など生活に支障が出ている——このいずれかにあてはまるときは、無理をせず、医療機関やかかりつけの専門職にご相談ください。

※急に始まった歩きにくさと、救急を呼ぶ目安はP3をご覧ください。

用語ミニ Q&A

Q.「腎(じん)」とは?

A. 東洋医学でいう「腎」は、腎臓そのものではなく、成長や老化、足腰や骨のはたらきと関わりが深いとされる考え方です。年を重ねると腎の力は少しずつ目減りすると見て、足腰の養生は腎をいたわることから、と考えます。温かい食事と、脚を冷やさないことが身近な養生です。

04
東洋医学
連載二つの目で見る、今月の困りごと ② ― 自宅で試せることMOVE FIT TOBATA|2026.09
③ 自宅で試せること|足腰を養うツボ

まずは、どなたでも自宅でできることから。椅子に腰かけて、気持ちよい程度に、息を吐きながらゆっくり押します。

足腰を養う養生のツボ

図はおおよその位置。正確な位置は右の説明を

  • 環跳(かんちょう)/お尻の外側、太ももの付け根の出っぱりのやや後ろのくぼみ/東洋医学では、腰から脚にかけての養生に用いられます(手のひらでやさしく)
  • 承山(しょうざん)/ふくらはぎの真ん中、力を入れると出る筋の山が分かれるところ/東洋医学では、脚の疲れやこわばりの養生に用いられます
  • 崑崙(こんろん)/外くるぶしの後ろ、アキレス腱との間のくぼみ/東洋医学では、腰から足首にかけての養生に用いられます
  • 湧泉(ゆうせん)/足の裏、足の指を曲げたときにへこむところ/東洋医学では、足腰を支える「腎」を養う養生に用いられます

気持ちよい程度に、息を吐きながら5秒ほどゆっくり。強く揉まないこと。ここでの説明は東洋医学の伝統的な考え方の紹介で、症状への効果を保証するものではありません。妊娠中の方(とくに崑崙は避けます)、血が止まりにくい方(抗凝固薬を使う方など)、皮膚に傷や異常がある部位は避け、持病・服薬中の方や症状が続くときは、始める前に主治医・鍼灸師にご相談ください。ツボは薬の代わりではありません。立ったまま押すとふらつくことがあるため、必ず座って行ってください。

③ 自宅で試せること|食の養生

東洋医学では、足腰の力は「腎」に支えられると考えます。腎を養うと言われるのは、黒豆・黒ごま・くるみ・山いも・海藻など。あわせて、筋肉のもとになる肉・魚・卵・豆腐を、毎食少しずつ。冷たい飲食にかたよらず、温かい汁物で体を冷やさないように。よく噛んで、腹八分を目安に。※持病や食事の指示がある方は、主治医・管理栄養士の指示を優先してください。

⑤ かんたんチェック
かんたん体質チェックQR
かんたん体質チェック
約3分(25問)

「自分のタイプは?」——スマートフォンで約3分(25問)のかんたん体質チェックができます。今の状態の傾向がわかりますので、結果を体験時に見せていただくと、お話が早く進みます。

※医療上の診断ではなく、ご相談のきっかけです。

⑥ 読者別の体験のご案内

歩きにくさが気になる方は「ご本人・ご家族」として、ご利用者様のことでお困りの方は「支援者」として、ご自身の腰や膝のことは「スタッフご本人」として。それぞれの入り口と、初回体験のご案内をP6にまとめました。どの入り口でも、まずは30分の体験からです。

「刺さない鍼」もあります

鍼と聞くと身構える方へ。鍼灸には、皮膚に軽く当てたり、さすったりして、鍼を刺さずに用いる「鍉鍼(ていしん)」もあります。棒状の金属の道具で経絡(気血のとおり道)をやさしく整えるもので、鍼を刺す施術が苦手な方や、はじめての方にも用いられます。「鍼はちょっと…」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

05

ご相談・ご紹介のご案内

INFORMATION
お問い合わせ・ご相談の窓口

ご利用者様の「歩き」や「痛み」のことでお困りの方、ご自身の不調が気になる方、どちらもお気軽にご相談ください。理学療法士×鍼灸師が、運動と鍼灸の両方の目で体の状態を確認します。主治医・ケアマネジャーのみなさまと連携しながら進めます。

Move fit 戸畑/訪問鍼灸Move(担当:村田 幸俊)
TEL:090-2394-9552(平日9:30〜20:00・土日祝休み)
施術中は出られないことがあります。事業所名とお名前だけお伝えいただければ折り返します。
初回体験のご案内(無料)
  • 所要時間は30分程度です。姿勢と動きの評価(理学療法士)と、冷え・睡眠・食欲など全身の状態の確認(鍼灸師)のあと、鍼灸または理学療法を短時間で受けていただきます。鍼が苦手な方は刺さない鍼も選べます。
  • 店舗でも訪問でも承ります。
  • ご紹介の方・本紙をお持ちの方・ケアマネ・看護師・施設スタッフご本人は無料です。
  • 体験後は訪問鍼灸・ジム・様子を見る、のどれでも大丈夫です。
  • 体験後に訪問鍼灸を続ける場合、健康保険1割負担の方で1回およそ500円が目安です(医師の同意が必要です)。
LINE予約QR
QR=LINEで予約・ご相談
体験のご予約・お問い合わせを
LINEで受け付けています
LINEで「体験希望」とお名前・ご希望の曜日と時間帯を送るだけで大丈夫です。お電話でも承ります。

⑴ ご本人・ご家族の方へ

気になるところがある方は、まず30分の体験で今の状態をご確認ください。

この紙面は、ご家族やお知り合いにそのままお渡しください。

⑵ ケアマネジャー・看護師など支援者の方へ

ご利用者様のご紹介は、医師の同意と、体の状態の確認が必要です。同意書依頼の書類作成は当方で行います。

健康保険でのご利用は医師の同意が前提です(介護保険と併用できます)。

読者Q&A

Q. 歩くのが遅くなったのは年のせいでしょうか。鍼灸や運動で何か変わりますか?

A. 年齢だけが理由とはかぎりません。脚の力の低下、バランスの取りにくさ、腰や膝の痛み——たいていはこれらが重なって表れます。このうち筋力とバランスは、運動で整えていける部分です(厚労省「身体活動・運動ガイド2023」でも、高齢者には筋力・バランスなど多要素な運動が週3日以上すすめられています)。鍼灸は、東洋医学では腰や膝の痛み、冷えの養生に用いられてきました(効果を保証するものではありません)。まずは体験で、今の状態がどこから来ているのかを確認するところから始めてみてください。

歩きやすい季節に、体を見直す

涼しくなって、体を動かしやすい季節になりました。敬老の日を前に、ご家族やご利用者様の歩く様子を、少し立ち止まって眺めてみてください。歩幅がひとつ広がると、行ける場所が増えます。

秋の街を家族といっしょに歩く
整え、鍛え、また歩きだす。行きたい場所へ、自分の足で。
Move fit 戸畑 ジム&鍼灸/訪問鍼灸Move
TEL 090-2394-9552
〒804-0041 北九州市戸畑区天籟寺1丁目2番50号/発行 Move fit 戸畑・2026年9月1日(第2号・毎月1日発行)/執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師)
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