KARADA TSUSHIN|MOVE FIT TOBATA
今月の特集|FEATURE
猛暑が続いた夏の疲れは、涼しくなるころにひょっこり出てきます。「なんとなくだるい」「寝ても疲れが抜けない」——残暑のこの時期にジムでも訪問先でもよく伺うこの声を、今月は理学療法士と鍼灸師、両方の目で整理しました。
P2-3
特集:残暑の疲れと自律神経
なぜ疲れが抜けないのか/整える3本柱・✂チェック表
P4-5
東洋医学の視点
二つの目で見る/気の消耗と巡り/ツボと食の養生
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ご相談・ご紹介窓口
読者Q&A(不眠と鍼灸)/LINEで予約・ご相談
執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師/訪問鍼灸Move 院長・Move fit tobata 代表)|運動も鍼灸も、両方の目で体を診ます
FEATURE
「涼しくなってきたのに、体がだるい」「寝ても疲れが取れない」——夏の終わりから初秋にかけて、こんな声が増えます。強い日ざしと寝苦しい夜が続いた夏、体は思った以上に消耗しています。
そして9月は、まだ暑さそのものが油断できない時期。残暑の疲れと、日中と朝晩の気温差——この二つが重なると、体温や睡眠を自動で調節するはたらき(自律神経=じりつしんけい)に負担がかかりやすくなります。
出典:総務省消防庁「令和6年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」(データ:2024年)
熱中症で運ばれた方の
半数以上が65歳以上
2024年は65歳以上が55,966人・全体の57.4%(消防庁)。残暑も見守りが大切です。
夏の消耗と気温差が重なる流れ。どこか1つを整えるのが対策の入り口です
※急に強くなった体調の変化は、ためらわず対応を。迷う時は主治医・かかりつけ医にご相談ください。
寝床にいる時間は
8時間以上にしないのが目安
高齢者は床上時間8時間以上・長い昼寝がかえって不調と関連(厚労省 睡眠ガイド2023)。
①背すじを伸ばして座る ②鼻から4秒吸う ③口から8秒かけて吐く ④肩を上げてストンと落とす——1日数回、痛みのない範囲で
※息苦しさやめまいが出たら中止。通院・リハビリ中の方は主治医・担当者の指示を優先してください。
申し送りに:「残暑で疲労感の訴えあり。水分・睡眠のリズムを確認し、様子を見ています。」
ご家族に:「夏の疲れは涼しくなってから出ることも。決まった時間の起床と水分の声かけを。」
SERIES|理学療法士 × 鍼灸師の目で
ここからは、鍼灸師としての東洋医学の視点です。東洋医学では、夏は汗とともに「気(き=体を動かすエネルギー)」を消耗する季節と考えます。その疲れを残したまま、朝晩の涼しさと日中の暑さという寒暖差が加わると、気の巡りが乱れやすい——残暑のだるさを、そんな線で見立てます。
睡眠のリズム・日中の活動量・呼吸の深さ・血圧の変動から、だるさの背景を確かめます。動かなすぎ・夜ふかしなど、生活リズムの乱れに注目します。
同じだるさを「夏に気を消耗し、寒暖差で気の巡りが乱れたサイン」と見立てます。脈やお腹から気の状態を探り、不足した気を補い、滞った気血を巡らせる養生を考えます。
両方の目で見ると、「生活リズム」の立て直しと「気」の養生——二つの引き出しで、だるさに向き合えます。
東洋医学では、夏の暑さと汗で気(エネルギー)を消耗すると考えます。気が不足すると、だるさ・食欲のなさ・日中の眠気として現れやすい。そこに秋の入り口の寒暖差が加わると、気の巡りが乱れ、寝つきの悪さや気分のむらにつながると見立てます。「気滞(きたい=気の巡りの滞り)」を残さないことが、残暑の養生の入り口です。
夏に消耗した気と、寒暖差で乱れる巡りのイメージ
体温や睡眠、消化を自動で調節する自律神経のはたらきは、東洋医学でいう「気の巡り」と重なる部分があると考えられています。心(しん=こころのはたらき)や肝(かん=気の巡りをつかさどる)が落ち着かないと、寝つきや気分に影響しやすい。だからこそ、決まった生活リズムと、気を落ち着ける養生が大切だと考えます。
鍼灸師は、脈・お腹・舌の様子からこうした気の状態を見立てます。
夜はスマートフォンを早めに置いて、ぬるめの湯船に10分。ゆっくりした呼吸を数回——高ぶった気を落ち着けると、眠りに入りやすいと言われています。※東洋医学の考え方の紹介です。効果には個人差があります。持病・服薬中の方は主治医・鍼灸師にご相談ください。
図はおおよその位置。正確な位置は右の説明を
気持ちよい程度に、息を吐きながら5秒ほどゆっくり。強く揉まないこと。ここでの説明は東洋医学の伝統的な考え方の紹介で、症状への効果を保証するものではありません。妊娠中の方、血が止まりにくい方(抗凝固薬を使う方など)、皮膚に傷や異常がある部位は避け、持病・服薬中の方や症状が続くときは、始める前に主治医・鍼灸師にご相談ください。ツボは薬の代わりではありません。
夏の疲れで弱った胃腸には、米・いも・豆・かぼちゃなど気を補う食材を、温かい汁物で。冷たい飲み物にかたよらず、よく噛んで腹八分に。気の巡りには、しそ・ねぎ・柑橘の香りも助けになると言われます。少しずつ秋の実りを取り入れて。
Q. 「気滞(きたい)」とは?
A. 気(エネルギー)の巡りがとどこおった状態です。ため息が増える、肩や胸が張る、気分にむらが出る——そんなときのサインと考えます。深い呼吸や香りのよい食材が、巡りを助ける身近な養生です。
鍼と聞くと身構える方へ。鍼灸には、皮膚に軽く当てたり、さすったりして、鍼を刺さずに用いる「鍉鍼(ていしん)」もあります。棒状の金属の道具で経絡(気血のとおり道)をやさしく整えるもので、鍼を刺す施術が苦手な方や、はじめての方にも用いられます。「鍼はちょっと…」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
ご利用者様の「歩き」や「痛み」のことでお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。理学療法士×鍼灸師が、運動と鍼灸の両方の目で体の状態を確認します。医師の同意があり、腰痛症・神経痛など対象となる症状に該当する場合は、健康保険で訪問鍼灸をご利用いただけます(介護保険と併用できます)。主治医・ケアマネジャーのみなさまと連携しながら進めます。
この紙面は、ご家族やお知り合いにそのままお渡しください。「最近、夏の疲れが抜けない」「よく眠れない」という方が身近にいらっしゃいましたら、体験・ご相談はLINEからどうぞ。
Q. よく眠れないとき、鍼灸は役に立ちますか?
A. 東洋医学では、寝つきの悪さを「心(しん)や肝(かん)が高ぶって気が落ち着かない状態」と見立て、気を落ち着ける養生やツボを用います。鍼灸で必ず眠れるようになるわけではありませんが、体をゆるめて眠りに入りやすい状態を整える手助けになると言われています。生活リズムを整えることと合わせて、気になる方はご相談ください(※効果には個人差があります。不眠が続くときは主治医にもご相談を)。
涼しくなるこの時期は、夏にがんばった体をいたわる季節です。決まった時間に起きて光を浴び、ぬるめのお風呂と温かい食事で、少しずつリズムを取り戻していきましょう。