KARADA TSUSHIN|MOVE FIT TOBATA

からだ通信

01
2026年8月号
発行:Move fit 戸畑 × 訪問鍼灸Move
夏の室内で腰に手を当てる男性

今月の特集|FEATURE

冷房の冷えと、
腰・膝の痛み

外は猛暑でも、冷房の効いた部屋で長く過ごす体は、思いのほか冷えています。「夏なのに腰や膝がこわばる」——ジムでも訪問先でもよく伺うこの季節の訴えを、今月は理学療法士と鍼灸師、両方の目で整理しました。

1冷えると筋肉はこわばる
——夏の腰・膝の痛みの正体
2冷やしすぎも、我慢も禁物。
室温の目安を知る
3椅子でできる、こわばりほぐしと
ツボ養生

P2-3

特集:冷房の冷えと腰・膝の痛み

なぜ夏に痛むのか/今日からできる対策・✂チェック表

P4-5

東洋医学の視点

二つの目で見る/経絡と冷え/ツボと食の養生

P6

ご相談・ご紹介窓口

読者Q&A/創刊のご挨拶/LINEで予約・ご相談

村田幸俊

執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師/訪問鍼灸Move 院長・Move fit tobata 代表)|運動も鍼灸も、両方の目で体を診ます

特集
特集冷房の冷えと腰・膝の痛み ①(なぜ夏に痛むのか)MOVE FIT TOBATA|2026.08
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FEATURE

なぜ夏に「腰・膝」が痛むのか

腰の痛みは、日本人がいちばん多く訴える自覚症状です。厚生労働省の2022年 国民生活基礎調査では、有訴者率(ゆうそしゃりつ=人口千人あたり、症状を訴える人の数)で腰痛が男女とも第1位。手足の関節の痛みも上位に入ります。

そして夏。冷房の効いた室内で長く過ごす体は、思いのほか冷えています。「夏なのに腰・膝がこわばる」——この季節ならではの訴えには、理由があります。

有訴者率のグラフ

出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」(有訴者率・人口千対)

1

腰痛は男女とも
自覚症状の第1位

手足の関節の痛みも女性3位・男性4位(同調査)。それだけ身近な悩みです。

冷えた部屋で、体に起きていること
  • 筋肉が緊張して硬くなる——厚生労働省の腰痛予防対策指針も、寒冷な環境は筋肉の緊張・収縮を高め、腰痛の誘因になり得るとしています
  • 座りっぱなしで腰の負担が増える——同指針は長時間の同一姿勢を避けるよう求めています
  • 動く量が減って、巡りが落ちる——涼しい部屋では自然と活動量が下がりがちです

「冷え」から「痛み」への流れ

冷えから痛みへの流れ

冷えから痛みにつながる悪循環。どれか1つを断つのが対策の入り口です

02
特集
特集冷房の冷えと腰・膝の痛み ②(今日からできる対策)MOVE FIT TOBATA|2026.08
こんな痛みは、早めに受診を
  • 安静にしていてもズキズキ痛む・夜も眠れないほど痛む
  • 脚のしびれ・力の入りにくさ、排尿・排便の変化をともなう
  • 転んだ後の強い痛み・腫れ、熱をもった関節の腫れ

※上記や、発熱を伴う痛み・急に強くなった痛みは、整形外科など医療機関へ。迷う時は主治医・かかりつけ医にご相談ください。

冷やしすぎない——室温・風・服装のコツ
  • 室温の目安は18〜28℃。働く場のルール(事務所衛生基準規則)でも「外気温より著しく低くしない」と定められています
  • 「28℃」は室温の目安で、エアコンの設定温度ではありません(環境省)
  • 風が体に直接当たらない工夫を。ひざ掛け・薄手の羽織りもの・靴下も味方です
  • 冷房の我慢は禁物。2025年夏の熱中症搬送は10万人超と過去最多です(消防庁)
約38%

熱中症搬送の約4割は
「住居」で発生

冷房は我慢せず、上手に使うことが大切です(消防庁・2025年5〜9月)。

30分に1回は姿勢を変える——椅子でできる、こわばりほぐし

椅子でできる体操

①かかと上げ ②膝伸ばし ③足首まわし ④30分に1回立つ——痛みのない範囲で、ゆっくり10回ずつが目安

※痛みが出る時は無理をせず中止してください。通院中・リハビリ中の方は、主治医・担当者の指示を優先してください。

冷え×痛み セルフチェック ✂ コピー・切り取って、事業所やご自宅の見えるところにどうぞ
冷房の風が直接当たっていない
ひざ掛け・羽織りものが手元にある
30分に1回は立ち上がっている
湯船で体を温めている
室温計で18〜28℃を確認している
朝のこわばりが長引いていない
動き始めの一歩の痛みが増えていない
眠れている・食欲がある
申し送り・ご家族への一言(そのまま使えます)

申し送りに:「冷房の風が直接当たる席で、腰のこわばりの訴えがありました。座席の位置とひざ掛けで調整し、様子を見ています。」

ご家族に:「夏でも体は冷えます。ひざ掛け1枚と、こまめに立つ声かけを。」

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東洋医学
連載東洋医学の視点 ①MOVE FIT TOBATA|2026.08
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SERIES|理学療法士 × 鍼灸師の目で

冷えの痛みを「経絡」で読みとく

ここからは、鍼灸師としての東洋医学の視点です。東洋医学では、冷房の冷えを「寒邪(かんじゃ=外からの冷えの負担)」と考えます。寒邪を受けると「経絡(けいらく=気血のとおり道)」の巡りが滞り、こわばりや痛みにつながる——夏の腰・膝の痛みを、そんな線で見立てます。

理学療法士の目

筋肉の緊張・関節の動く範囲・動作のくせや筋力から、痛みの背景を確かめます。冷えた環境では筋肉が硬くなり、動きが小さくなることに注目します。

×
鍼灸師の目

同じ痛みを「寒邪で経絡の巡りが滞ったサイン」と見立てます。脈やお腹の状態から巡りの足りない所を探し、温めて補い、巡らせる養生を考えます。

両方の目で見ると、「動き」の対策と「巡り」の養生——二つの引き出しで痛みに向き合えます。

経絡と気血——滞ると、痛む

東洋医学では、体を巡る「気(き=体を動かすエネルギー)」と「血(けつ=体を養う栄養)」が、経絡をとおって全身を養うと考えます。冷えは、この巡りを滞らせる代表格。「通じざれば則ち痛む(巡りが滞ると痛む)」という古くからの言葉のとおり、滞りはこわばりや痛みとして現れると考えられてきました。

経絡と冷えの概念図

経絡(気血のとおり道)が冷えで滞るイメージ

夏こそ、実は「冷え」の季節

8月は、汗とともに気を消耗する季節。同時に、冷たい麺や飲み物で胃腸(脾胃=ひい・消化吸収のはたらき)を中から冷やし、冷房で体の表面から寒邪を受けます。外は暑く、体の中は冷えている——この「内外の冷え」が、夏の腰・膝の重だるさの背景にあると見立てます。だからこそ夏は、「冷やさない工夫」がそのまま痛みの養生になると考えます。

“中から冷えている”サイン
  • お腹・腰・足首を触るとひんやり冷たい
  • 温かい飲み物やお風呂で、体がほっとゆるむ
  • 舌が白っぽい(東洋医学の舌診=ぜっしんの見方)

鍼灸師は、脈・お腹・舌の様子からこうした冷えを見立てます。

今日からの養生ワンポイント

夜はシャワーだけで済ませず、ぬるめの湯船に10分(入浴の前後にコップ1杯の水分を)。ふくらはぎと足首を冷やさないだけでも、巡りの養生になると言われています。※東洋医学の考え方の紹介です。効果には個人差があります。持病・服薬中の方は主治医・鍼灸師にご相談ください。

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東洋医学
連載東洋医学の視点 ② ― ツボと食の養生MOVE FIT TOBATA|2026.08
冷えの痛みに——巡りを助ける養生のツボ
養生のツボ

図はおおよその位置。正確な位置は下の説明を

  • 陽陵泉(ようりょうせん)/膝の外側・骨の出っぱりのすぐ下、やや前のくぼみ/筋と関節の動きを助けるツボとして知られます
  • 委中(いちゅう)/膝の裏・中央/腰と脚のだるさ・重さに
  • 三陰交(さんいんこう)/内くるぶしの一番高いところから指4本上・すねの骨の内側のきわ/血と水の巡り・冷えに ※妊娠中は避ける
  • 太谿(たいけい)/内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ/東洋医学でいう腎(じん=足腰・うるおいのもと)を養い、冷えに

気持ちよい程度に、息を吐きながら5秒ほどゆっくり。強く揉まないこと。妊娠中の方、血が止まりにくい方(抗凝固薬を使う方など)、皮膚に傷や異常がある部位は避け、持病・服薬中の方は始める前に主治医・鍼灸師にご相談ください。ツボは薬の代わりではありません。

食の養生——中から冷やさない

冷たい麺や飲み物に偏りがちな夏こそ、しょうが・ねぎ・にらなど温める食材を少し足して、温かい汁物を一品。きゅうり・トマトなど夏野菜も、常温や温かい調理でどうぞ。よく噛んで腹八分に——胃腸をいたわることが、気血をつくる養生の土台です。

東洋医学 ミニ Q&A

Q. 「外邪(がいじゃ)」とは?

A. 風・寒・暑・湿など、外から体に負担をかけるものの総称です。夏の冷房の冷えは、いわば「人工の寒邪」。冬と違って油断しやすい分、ひざ掛けや湯船で「防げる外邪は防ぐ」——それが夏の東洋医学の知恵です。

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ご相談・ご紹介のご案内

INFORMATION
ケアマネジャー・施設スタッフの方へ

ご利用者様の「歩き」や「痛み」のことでお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。理学療法士×鍼灸師が、運動と鍼灸の両方の目で体の状態を確認します。医師の同意があり、腰痛症・神経痛など対象となる症状に該当する場合は、健康保険で訪問鍼灸をご利用いただけます(介護保険と併用できます)。主治医・ケアマネジャーのみなさまと連携しながら進めます。

お問い合わせ・ご相談
Move fit 戸畑/訪問鍼灸Move(担当:村田 幸俊)
TEL:090-2394-9552(平日9:30〜20:00・土日祝休み)
施術中は出られないことがあります。事業所名とお名前だけお伝えいただければ折り返します。
会員・ご家族の方へ

この紙面は、ご家族やお知り合いにそのままお渡しください。「最近、歩くのが不安」「痛みが気になる」という方が身近にいらっしゃいましたら、体験・ご相談はLINEからどうぞ。

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読者Q&A

Q. ジムと鍼灸、どちらに行けばいい?

A. 役割が違います。痛みや不調のある時期に、体を「整える」方向から支えるのが鍼灸、動ける体を「つくる」のが運動——強いこわばりがある時期は整えることから始め、整った土台に運動を積むのが基本の考え方です。Move fitでは理学療法士×鍼灸師が同じ目で両方を診て、その日の体調に合わせてご提案します。

創刊のご挨拶

はじめまして。Move fit戸畑・訪問鍼灸Moveの村田です。運動と鍼灸、二つの目で体を診るなかで気づいたことを、月に一度この通信でお届けしていきます。介護と健康支援の現場で、そしてご家庭で、少しでもお役に立てばうれしいです。

夏を心地よく過ごす
冷やしすぎず、あたため、動かす。夏の腰・膝を、いっしょに守りましょう。
Move fit 戸畑 ジム&鍼灸/訪問鍼灸Move
TEL 090-2394-9552
〒804-0041 北九州市戸畑区天籟寺1丁目2番50号/発行 Move fit 戸畑・2026年8月1日(第1号・毎月1日発行)/執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師)
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