KARADA TSUSHIN|MOVE FIT TOBATA
今月の特集|FEATURE
外は猛暑でも、冷房の効いた部屋で長く過ごす体は、思いのほか冷えています。「夏なのに腰や膝がこわばる」——ジムでも訪問先でもよく伺うこの季節の訴えを、今月は理学療法士と鍼灸師、両方の目で整理しました。
P2-3
特集:冷房の冷えと腰・膝の痛み
なぜ夏に痛むのか/今日からできる対策・✂チェック表
P4-5
東洋医学の視点
二つの目で見る/経絡と冷え/ツボと食の養生
P6
ご相談・ご紹介窓口
読者Q&A/創刊のご挨拶/LINEで予約・ご相談
執筆・監修:村田 幸俊(理学療法士・鍼灸師/訪問鍼灸Move 院長・Move fit tobata 代表)|運動も鍼灸も、両方の目で体を診ます
FEATURE
腰の痛みは、日本人がいちばん多く訴える自覚症状です。厚生労働省の2022年 国民生活基礎調査では、有訴者率(ゆうそしゃりつ=人口千人あたり、症状を訴える人の数)で腰痛が男女とも第1位。手足の関節の痛みも上位に入ります。
そして夏。冷房の効いた室内で長く過ごす体は、思いのほか冷えています。「夏なのに腰・膝がこわばる」——この季節ならではの訴えには、理由があります。
出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」(有訴者率・人口千対)
腰痛は男女とも
自覚症状の第1位
手足の関節の痛みも女性3位・男性4位(同調査)。それだけ身近な悩みです。
冷えから痛みにつながる悪循環。どれか1つを断つのが対策の入り口です
※上記や、発熱を伴う痛み・急に強くなった痛みは、整形外科など医療機関へ。迷う時は主治医・かかりつけ医にご相談ください。
熱中症搬送の約4割は
「住居」で発生
冷房は我慢せず、上手に使うことが大切です(消防庁・2025年5〜9月)。
①かかと上げ ②膝伸ばし ③足首まわし ④30分に1回立つ——痛みのない範囲で、ゆっくり10回ずつが目安
※痛みが出る時は無理をせず中止してください。通院中・リハビリ中の方は、主治医・担当者の指示を優先してください。
申し送りに:「冷房の風が直接当たる席で、腰のこわばりの訴えがありました。座席の位置とひざ掛けで調整し、様子を見ています。」
ご家族に:「夏でも体は冷えます。ひざ掛け1枚と、こまめに立つ声かけを。」
SERIES|理学療法士 × 鍼灸師の目で
ここからは、鍼灸師としての東洋医学の視点です。東洋医学では、冷房の冷えを「寒邪(かんじゃ=外からの冷えの負担)」と考えます。寒邪を受けると「経絡(けいらく=気血のとおり道)」の巡りが滞り、こわばりや痛みにつながる——夏の腰・膝の痛みを、そんな線で見立てます。
筋肉の緊張・関節の動く範囲・動作のくせや筋力から、痛みの背景を確かめます。冷えた環境では筋肉が硬くなり、動きが小さくなることに注目します。
同じ痛みを「寒邪で経絡の巡りが滞ったサイン」と見立てます。脈やお腹の状態から巡りの足りない所を探し、温めて補い、巡らせる養生を考えます。
両方の目で見ると、「動き」の対策と「巡り」の養生——二つの引き出しで痛みに向き合えます。
東洋医学では、体を巡る「気(き=体を動かすエネルギー)」と「血(けつ=体を養う栄養)」が、経絡をとおって全身を養うと考えます。冷えは、この巡りを滞らせる代表格。「通じざれば則ち痛む(巡りが滞ると痛む)」という古くからの言葉のとおり、滞りはこわばりや痛みとして現れると考えられてきました。
経絡(気血のとおり道)が冷えで滞るイメージ
8月は、汗とともに気を消耗する季節。同時に、冷たい麺や飲み物で胃腸(脾胃=ひい・消化吸収のはたらき)を中から冷やし、冷房で体の表面から寒邪を受けます。外は暑く、体の中は冷えている——この「内外の冷え」が、夏の腰・膝の重だるさの背景にあると見立てます。だからこそ夏は、「冷やさない工夫」がそのまま痛みの養生になると考えます。
鍼灸師は、脈・お腹・舌の様子からこうした冷えを見立てます。
夜はシャワーだけで済ませず、ぬるめの湯船に10分(入浴の前後にコップ1杯の水分を)。ふくらはぎと足首を冷やさないだけでも、巡りの養生になると言われています。※東洋医学の考え方の紹介です。効果には個人差があります。持病・服薬中の方は主治医・鍼灸師にご相談ください。
図はおおよその位置。正確な位置は下の説明を
気持ちよい程度に、息を吐きながら5秒ほどゆっくり。強く揉まないこと。妊娠中の方、血が止まりにくい方(抗凝固薬を使う方など)、皮膚に傷や異常がある部位は避け、持病・服薬中の方は始める前に主治医・鍼灸師にご相談ください。ツボは薬の代わりではありません。
冷たい麺や飲み物に偏りがちな夏こそ、しょうが・ねぎ・にらなど温める食材を少し足して、温かい汁物を一品。きゅうり・トマトなど夏野菜も、常温や温かい調理でどうぞ。よく噛んで腹八分に——胃腸をいたわることが、気血をつくる養生の土台です。
Q. 「外邪(がいじゃ)」とは?
A. 風・寒・暑・湿など、外から体に負担をかけるものの総称です。夏の冷房の冷えは、いわば「人工の寒邪」。冬と違って油断しやすい分、ひざ掛けや湯船で「防げる外邪は防ぐ」——それが夏の東洋医学の知恵です。
ご利用者様の「歩き」や「痛み」のことでお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。理学療法士×鍼灸師が、運動と鍼灸の両方の目で体の状態を確認します。医師の同意があり、腰痛症・神経痛など対象となる症状に該当する場合は、健康保険で訪問鍼灸をご利用いただけます(介護保険と併用できます)。主治医・ケアマネジャーのみなさまと連携しながら進めます。
この紙面は、ご家族やお知り合いにそのままお渡しください。「最近、歩くのが不安」「痛みが気になる」という方が身近にいらっしゃいましたら、体験・ご相談はLINEからどうぞ。
Q. ジムと鍼灸、どちらに行けばいい?
A. 役割が違います。痛みや不調のある時期に、体を「整える」方向から支えるのが鍼灸、動ける体を「つくる」のが運動——強いこわばりがある時期は整えることから始め、整った土台に運動を積むのが基本の考え方です。Move fitでは理学療法士×鍼灸師が同じ目で両方を診て、その日の体調に合わせてご提案します。
はじめまして。Move fit戸畑・訪問鍼灸Moveの村田です。運動と鍼灸、二つの目で体を診るなかで気づいたことを、月に一度この通信でお届けしていきます。介護と健康支援の現場で、そしてご家庭で、少しでもお役に立てばうれしいです。